伝説のロックシンガーから1通のメール 縮まる二人の距離
舞台はサンドクリフというイギリスの港町。主人公アニー（ローズ・バーン）は親の仕事を引き継いで地元の小さな郷土史博物館で働いていました。
彼女はパートナーのダンカン（クリス・オダウド）と何不自由なく暮らしていましたが、日々の生活にどこか満足ができず物足りなさを感じていました。
ダンカンは伝説的なロック歌手で現在は消息不明のタッカー・クロウ（イーサン・ホーク）の大ファンなのですが、タッカーの曲の感想でアニーと口論になります。
アニーは納得がいかずダンカンが立ち上げたタッカーのファンサイトに曲を酷評するコメントを投稿。
すると後日、タッカー本人と名乗る男から「君の評価が正しい。ファンサイトの奴らはイカレてる」というメールが届きます。
最初はタッカー本人なのか疑うアニーでしたが、メールのやり取りをするうちに心が打ち解けあい、本物のタッカーだと確信。そしてダンカンには内緒で遂に会う約束をするのです…。
パートナーに対して大きな不満があるわけでもないのに、どこかで満足できずモヤモヤするという体験は、誰しもが経験したことがあるのではないでしょうか？
アニーはダンカンのことを愛していますが、全てを受け入れているわけではありません。
そんなアニーの元に伝説のロックシンガーであるタッカーが現れ、惰性的に過ぎていた日常に大きな変化が訪れるのです。
「条件付きではない無条件の愛を感じてみたい」アニーの心の声が響きます。
ダンカンは自分の事よりタッカーに夢中。そしてタッカーは若い頃からの荒れた生活が影響して、プライベートでは問題だらけ。この大人になりきれていない二人の間でアニーの心は揺れ動くのです。
自分にとって完璧なパートナーとは誰なのか？ そもそも完璧なパートナーなんて存在するのか？アニーは自問自答します。
ネガティブなニュースが多い世の中ですが、自分を肯定してくれる「15年後のラブソング」を是非体験してみてください。
現状を変えたいなら行動あるのみ ローズ・バーンの行動力
本作主演のローズ・バーンはオーストラリア・シドニー出身。子供時代から役者の仕事を始めて12歳の時に映画に出演しました。
その後、シドニー大学を卒業してからはオーストラリアのテレビドラマなどに多数出演。
彼女は人が羨む順調なキャリアを積んでいましたが、「15年後のラブソング」のアニー同様どこかで満足していない自分に気づき、オーストラリアからアメリカ・ニューヨークに渡り、演劇学校で一から演技を勉強するのです。
そして「スター・ウォーズ エピソード2」「ホワイト・ライズ」「マリー・アントワネット」などに出演した上で、僕も大好きなテレビドラマ「ダメージ」のエレン・パーソンズ役でブレイク。
この作品でのローズ・バーンの演技は絶賛され、エミー賞助演女優賞にノミネートされました。
その後の活躍は目覚ましく、「X-MEN ファースト・ジェネレーション」「ブライズ・メイズ 史上最悪のウェディングプラン」「ANNIE/アニー」「ピーターラビット」などの話題作に出演する様になりました。
ローズ・バーンの人生のターニング・ポイントは、オーストラリアで築いたショウビズの世界での地位を捨てアメリカに渡ったことだと思います。
読者の方でも、いまの地位や立場に満足していれば全く問題ないですし、その場所を守るのも大事だと思います。
しかし、もし現状に違和感を感じていたり環境の変化を強く望んでいるのなら、ローズ・バーンのように思い切りの良さと行動が必要かもしれません。
一番大切なのは後悔しないことなのです。
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「15年後のラブソング」
（C）2018 LAMF JN, Ltd. All rights reserved.
原作 ニック・ホーンビィ
監督 ジェシー・ペレッツ
出演 ローズ・バーン、イーサン・ホーク、クリス・オダウド他
公開 6月12日（金）新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町他にて全国公開
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コトブキツカサ（映画パーソナリティー）
1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パソナリティ」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。
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