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【深川麻衣×若葉竜也】映画『嗤う蟲』で描くムラ社会の恐怖と夫婦の心理戦

スローライフに憧れて田舎に移住。思い描いていた生活のはじまりに胸を弾ませたのも束の間、みるまに不穏な空気に呑まれていく夫婦にスポットを当て、ムラ社会の実態を映し出す映画『嗤う蟲』。

物語が進むにつれ、村人たちに不信感を募らせ、さらには互いの態度に苛立ちを見せるようになる夫婦を演じたのは、近年の映画界でひっぱりだこの深川麻衣さんと若葉竜也さん。おふたりに、作品への思いを伺いました。

台本を読んで感じた魅力

――おふたりが演じる杏奈と輝道が追い詰められていくさまにハラハラさせられる作品ですが、台本をご覧になって、どんな点に魅力を感じて演じてみたいと思われましたか?

深川「村を舞台にした作品や、そこでの暮らしを描いた作品はいろいろありますが、この作品はこれまでにない着眼点で描かれているところが、すごく新鮮だと感じました」

若葉「僕は、城定監督のアンダーグラウンドな空気と、深川麻衣という俳優の化学反応が見たかったんですよね」

深川「若葉くんとは、今泉監督の『愛がなんだ』で共演していたので、私も安心感を覚えました」

実際に起きた村八分事件がヒント

――実際に起きた村八分事件をヒントに描かれているそうですが、ムラ社会に入っていく夫婦を演じるにあたって考えたことはありますか?

深川「“村八分”と聞くと、村八分にされるほうに同情してしまいそうですが、撮影前に城定さんが、“ふたりを完全な善人にはしたくない”と説明してくれました。村八分にする側の村人たちと、される側の杏奈と輝道のどちらかが100%悪いという描き方ではないので、観る人によって感じ方も違うと思いますし、その余白があるところも、この映画の魅力のひとつだと思います」

若葉「僕は個人的には、夫婦ふたりにも加害性を感じます。移住先のルールや空気は事前にキャッチできるでしょ、と」

作品の怖さとは

――“ヴィレッジ狂宴スリラー”のコピーが印象的ですが、おふたりは完成作品をご覧になって、どんな点が一番怖いと思われましたか?

若葉「僕は村自体が怖いというより、人間が集まったときに生まれる同調圧力の怖さを感じました」

深川「私は、特に、クライマックスで(田口)トモロヲさんと対峙するシーンです。実際にご本人と向き合っていても恐怖を感じるぐらい、トモロヲさんのお芝居に迫力がありました。実際に完成した映像を初めて見たときも、インパクトを感じて印象に残っています」

俳優陣の強烈な個性

――松浦祐也さん、片岡礼子さん、中山功太さん、杉田かおるさんも登場するだけで恐怖を感じさせますよね。

若葉「みなさんすごく個性が強いので、僕らは基本的に余計なことはしないようにしようということだけは最初から決めていました。いかに新鮮に受け止められるかという」

深川「やりすぎないことは意識しました。穏やかに思えていた空気がじわじわ変化して、相手の本音が見え隠れしだしてからも、驚いたり不快感を感じたりする感情を表に出そうとして出すのではなく、自然なリアクションを心がけました」

2025年にやりたいこと

――最後に、年始ということで2025年にやりたいことなどあれば教えてください。

若葉「特にないですね(笑)」

深川「行ってみたいところはないの?食べたいものとかは?」

若葉「食べたいものがあれば、その時、食べてますから…。なので、2025年だからとか関係なく、これからも食べたいものがあれば食べて、行きたいところがあれば行ってと、そのときどきでやりたいことをやっていきたいです(笑)」

深川「私はお仕事以外のやりたいことになりますが、ものをつくるのが好きなので、趣味が一緒の友だちと集まって、好きなものをつくる時間を楽しんでいきたいです。つくるもののジャンルは限定せずに、アクセサリーとか陶芸品とか洋服とか、そのとき興味があるものをつくって、趣味の世界も充実させていきたいと思います」

深川麻衣さん
乃木坂46卒業後、初主演映画『パンとバスと2度目のハツコイ』で第10回TAMA映画賞・最優秀新進女優賞受賞。ドラマ「日本ボロ宿紀行」で地上波連続ドラマ初主演と女優としてのキャリアを着実に築いていく。その後も、NHK大河ドラマ「青天を衝け」、ドラマ「特捜9」シリーズ、映画『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』など話題作に出演。

若葉竜也さん
2016年、映画『葛城事件』で第8回TAMA映画賞・最優秀新進男優賞を受賞。作品によって違った表情を見せる幅広い演技力で、数多くの作品に出演。NHK連続テレビ小説「おちょやん」で朝ドラに初出演し注目を集め、関西テレビ「アンメットある脳外科医の日記」に出演し数々の賞を受賞。ほか、映画『市子』、『ペナルティループ』、『ぼくのお日さま』など、多数の作品に出演。

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