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映画「ノースマン」に登場の歌姫ビョーク 慈善活動や世界の問題に発言する思慮深さ

様々な慈善活動を行いながら、政治的な発言や行動にも躊躇がない、世界の歌姫・ビョーク。彼女のように発信せずとも、日本や世界の問題に対して無関心ではなく、しっかりと情報を得た上で、物事を深く考慮することの大切さを学びたい。

一人の男の人生を賭したリベンジ・ファンタジー

9世紀のスカンジナビア地域の島国が舞台の物語。幼き王子のアムレート(オスカー・ノヴァク)は、父親であるオーヴァンディル王(イーサン・ホーク)と一緒に宮廷の道化であるヘイミル(ウィレム・デフォー)立ち会いのもと、伝統的な成人の儀式を執り行っていました。

しかし、その儀式の直後に叔父であるフィヨルニル(クレス・バング)がオーヴァンディルを殺害してしまい、グートルン王妃(ニコール・キッドマン)を連れ去ってしまうのです。まだ10歳のアムレートは父親の復讐と母親の救出を誓いひとりで島を脱出しました。そして数年後、アムレート(アレクサンダー・スカルスガルド)は、ヴァイキングの戦士となり、スラブ族の預言者(ビョーク)と出会い己の運命と使命を思い出し、オルガ(アニャ・テイラー= ジョイ)の助けを借りて復讐を果たそうとするのですが…。

荒れ狂う北大西洋の海上をカラスが飛び交うという、不穏なオープニング映像から始まる本作は、一人の男の人生を賭したリベンジ・ファンタジーです。

ロバート・エバース監督 寓話を壮大なアクションにアップデート

これまで復讐がテーマの物語は数多く制作されてきましたが、本作はシェイクスピアの四大悲劇のひとつ「ハムレット」や、その元になったと言われている「デンマーク人の事績」にも通じる古典的な寓話をアップデートした上での上質なアクションとなっていて、その完成度に唸ります。「ウィッチ」「ライトハウス」などが評価されたロバート・エガース監督が錚々たるキャストを集め、北欧を舞台にした壮大なスケールのアクション作品に仕上げました。

ロバート・エバース監督は、現代映画より時代物を好む監督ですが、今回インタビューで「自分たちがどこから来たのかを見つめることで、自分たちの存在を知り、自分たちがどこへ向かうのかを探索したい」と語っています。歴史大作が好みではない方もいるとは思いますが、古典的な物語と現代技術が融合した「ノースマン 導かれし復讐者」を是非劇場で体験してみてください。

そして、本作に預言者として登場したのが世界の歌姫であるビョーク。彼女の出演シーンは長くないものの、その存在感は圧倒的でした。ビョークをハリウッドセレブと称することは些か躊躇いますが、ゴールデングローブ賞では主演女優賞を獲得し、グラミー賞やアカデミー賞授賞式にも何度となく参加、そして今回アメリカ作品に出演したこともあってセレクトしました。

日本に親しみ 世界の問題にも積極的に発言

アイスランドで生まれたビョークは4歳の頃から作曲を始め、7歳の頃から音楽学校に通い様々な楽器を習得し、12歳にしてアルバムを発売してアーティストデビューします。そして音楽活動の傍ら女優としの活動も始め「ネズの木〜グリム童話より」で主演を果たすなど、仕事の幅を広げました。

ちなみに、彼女は若い頃から周りの友人たちに日本人に似ていると言われたことがきっかけで、三島由紀夫の小説を読むようになり、日本に親しみを感じるようになって空手を始めたり、複数の日本人アーティストとコラボもしました。(川久保玲のコムデギャルソンやジュンヤ・ワタナベの服を好んで着用しているのも有名)

そして、ミュージカル映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」で数々の映画賞に輝き、歌手としてだけでなく、女優としても世界的に有名になるのです。ビョークは、様々な慈善活動を行いながら、政治的な発言や行動に躊躇がありません。

中国でのコンサートではチベットについて触れて当局から非難声明を出されたり、日本でのコンサートではコソボに対しての想いを観客に向けて投げかけました。彼女は世界的なセレブという立場だからこそ、臆することなく発信できると思います。しかし、僕も含めた市井の方たちも日本や世界の問題に対して無関心ではなく、情報を得た上で、ビョークのように発信せずとも先ずは深く考慮することが大事だと思うのです。

ノースマン 導かれし復讐者

©2022 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED

監督・共同脚本  ロバート・エガース 共同脚本  ショーン 
出演  アレクサンダー・スカルスガルド、ニコール・キッドマン、クレス・バング、アニャ・テイラー=ジョイ、イーサン・ホーク、ウィレム・デフォー、ビョーク 他 
公開  2023年1⽉20⽇(金) 全国ロードショー

この記事を書いたひと

コトブキツカサ(映画パーソナリティー)
1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。

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