偉大な映画監督の娘として生まれ、父親と同じ道を歩んだソフィア・コッポラ。
自分の信じた道を諦めず、世間から何を言われても自分の道を突き進み結果を出してきた彼女の信念に学びたい。
「スター・ウォーズ」R2-D2の声はどのように生み出されたか
様々な要素が集結して一つの作品が生まれることから映画は総合芸術だと称されますが、本作は過去の名作を題材に、作品における大事な要素の一つ「音」に焦点を当てながら映画史を振り返るドキュメンタリーです。
映画には元々音は存在しませんでしたが、1927年に歴史的トーキー映画「ジャズ・シンガー」が制作されたのをきっかけに、映画音響は日々進化していきました。
ジョージ・ルーカス監督は「映画体験の半分は音だ」と断言し、アン・リー監督は「映画は映像と音の2つでできている」と言い切り、スティーヴン・スピルバーグ監督は「物語に命を与えるのは音だ」と音響の重要性を説きます。
本作では、多くの読者の方々が知っているであろうハリウッドで誕生した歴史に残る名作の音響秘話が数多く明かされます。
例えば「プライベート・ライアン」でのノルマンディ上陸作戦時のライフルから発射される銃声音。
あの空気をつんざく渇いた音はどのようにして作られたのか。
そして「スター・ウォーズ」に登場するR2-D2の声を作り出すために、スタッフが試行錯誤する過程が当時の関係者から語られるのです。
僕が特に印象深かったエピソードは、1976年にアメリカで公開された「スター誕生」秘話。
主演のバーブラ・ストライサンドは歌唱シーンでステレオ収録を強く希望しましたが、制作費の高騰を懸念したスタジオ側から強く反対され、仕方なく本人が当時の金額で600万ドルを出資して撮影。
そして作品が公開されると映画の評判はとても良く、彼女の歌声は大絶賛されてアカデミー賞の歌曲賞を受賞するのです。
そもそも人間が五感で最初に触れるのは胎児の時に聞く母親の呼吸音や鼓動であり、人間にとって世界の始まりは音だと言われています。
本作は、そんな音という側面から映画の魅力を観客に伝えているのです。
本編にも登場ソフィア・コッポラ 「信じた道を諦めないで」
本編では数人の映画監督が登場して映画音響について語りますが、その中の一人がガーリー・カルチャーの先駆者ソフィア・コッポラです。
彼女は名前からもお分かりだと思いますが、あの「ゴッドファーザー」や「地獄の黙示録」の監督であるフランシス・フォード・コッポラの娘としてニューヨークで生まれました。
母親は映画のセットデザイナーで従兄弟はニコラス・ケイジという芸能一家で育ったソフィアは、幼少期から親の勧めで数本の映画に出演しましたが、俳優に固執する事なく大学を中退して友人とファッション・ブランドを立ち上げます。
そして様々なアートワークを経て、短編映画「リック・ザ・スター」で監督デビューを果たし、初の長編映画「ヴァージン・スーサイズ」を撮影。
その後、子供時代に父親の映画のプロモーションに同行して何度も来日していた“東京”を舞台とした「ロスト・イン・トランスレーション」でアカデミー脚本賞を受賞。
そして「SOMEWHERE」でヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞を受賞するのです。
プライベートでは1999年に「マルコヴィッチの穴」「her/世界でひとつの彼女」などのスパイク・ジョーンズ監督と結婚しましたが4年後には離婚。
そしてクエンティン・タランティーノとの交際を経てフランスのバンド・フェニックスのボーカルであるトーマス・マーズと結婚しました。
ソフィア・コッポラは、「女性は自分の信じた道を諦めないで世間から何を言われても落ち込まないで欲しい」と、インタビューなどで何度も話しています。
彼女は偉大な映画監督の父親と同じ道を歩むことになり、当時世間から批判もされましたが、自分の道を突き進み結果を出しました。
ソフィアの様に、人に何を言われても自分を信じてメンタルを強く持つことが成功の秘訣なのかもしれませんね。
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「ようこそ映画音響の世界へ」
監督/ミッジ・コスティン
出演/ジョージ・ルーカス、スティーヴン・スピルバーグ、
デヴィッド・リンチ、ソフィア・コッポラ 他
公開/8月28日(金) 新宿シネマカリテ 他
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コトブキツカサ(映画パーソナリティー)
1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パソナリティ」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。
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