「OO7 スペクター」で、史上最年長のボンドガール役を射止めた、世界的ミューズ、モニカ・ベルッチ。
若さに執着はしないと断言し、無理なワークアウトやダイエットは決してしない彼女の “肉体が衰えるほどに魂は輝きを増す”という考えと生き方に学びたい。
優秀な殺し屋 アルツハイマー発症で裏社会引退を決意『MEMORY メモリー』
裏社会で優秀な殺し屋として名を馳せてきたアレックス(リーアム・ニーソン)ですが、自身がアルツハイマーを発症していることに気づき、このままでは任務に支障をきたすと判断し、引退を決意することに。しかし、旧知の人物から依頼を受け、これが最後の仕事だと決めてミッションに取り掛かろうとするのですが、ターゲットが少女だと知った彼は自分の信念から契約を破棄。そして、独自の捜査を進め、大富豪などを顧客とする巨大な人身売買の組織を突き止めるのです。
暗殺というミッションをクリアしたアレックスは、車に戻ると携帯から「早めに仕事が終わった。夕食までには帰るよ。」と誰かにメールします。それは依頼主への仕事を終えたというメッセージなのですが、非合法な世界と日常とのギャップを醸し出すそのシーンに映画的高揚を感じました。
自分の記憶が曖昧になっていくアレックスは、目の前に手をつけていないアイスティーが置かれているにもかかわらずアイスティーを注文して気まずい思いをします。自分の記憶に自信が持てなくなった彼は、ホテルのルームナンバーを自らの腕に書き入れます が、その姿は映画「メメント」で記憶障害となり体中に記憶のヒントをタトゥーとして彫るレナードを思い出しました。
「96時間」「特攻野郎Aチーム」「アンノウン」「スノー・ロワイヤル」などに出演してきたリーアム・ニーソンは、アクション俳優として世界的に認知されていますが、71歳になったリーアムがベテランアクション俳優としての矜持を本作でも遺憾なく発揮しています。リーアム・ニーソンの“生き様”を是非劇場で体験してみてください。
エイジングは自然の摂理「肉体が衰えるほどに魂は輝きを増す」
そして、本作に出演しているモニカ・ベルッチはイタリアの裕福な家庭で生まれ育ち、弁護士になるためにペルージャ大学に進学しています。モニカは親の援助を受けるだけでなく自立した女性を目指し、学費を稼ぐためにモデルのバイトを始めると、次々と仕事が舞い込みミラノへ引っ越してプロダクションと契約。イタリアだけでなく、フランスやアメリカでもモデルとして活躍します。
渡米してからはモデル業だけでなく演技学校に通って芝居の勉強に励み、1992年にはアメリカ映画「ドラキュラ」に出演。その後、「アパートメント」「ドーベルマン」「マレーナ」「アレックス」「マトリックス」シリーズなど、ハリウッドだけでなく世界を舞台に女優としてキャリアアップしていき、「OO7 スペクター」では、史上最年長のボンドガール役も射止めます。ちなみにロンドンで行われたスペクターのロイヤルプレミアに僕も仕事で参加させてもらったのですが、レッドカーペット上でモニカ・ベルッチに、日本から来たコトブキツカサだと挨拶すると、日本は大好きで特に食事が素晴らしいと、世界的ミューズが笑顔で答えてくれました。
プライベートでは、何度も共演したヴァンサン・カッセルと1999年に結婚して2人の子供を授かりますが、2013年に離婚。その後も役の大きさは関係なく様々な国で映画に参加しています。歳を重ねると誰しもが若い頃の自分と現在の自分を比べ、体型の変化や体力の衰えなどを感じ、時に落胆します。しかし、モニカは若さに執着はしないと断言しています。これまで常にカーヴィな体型(決して痩せてはいない曲線あるボディ)だったし、ハードでストイックなダイエットはせず、エイジングを自然の摂理だと感じていると彼女は発言しているのです。
誰しもが歳を重ねるにつれ容姿の変化や体力の衰えに抗おうとします。もちろん、適度な運動や美容は大事だと思いますが、モニカは若い頃に戻ろうと無理をしたワークアウトやダイエットは決してしないそうです。今年で59歳になるモニカ・ベルッチの「肉体が衰えるほどに魂は輝きを増す」という考えと生き方には学ぶべきことが多いと思います。
MEMORY メモリー
監督 マーティン・キャンベル 脚本 ダリオ・スカーダペイン 出演 リーアム・ニーソン、ガイ・ピアース、 モニカ・ベルッチ 他 公開 5月12日(金) TOHOシネマズ 日比谷 他
この記事を書いたひと
1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。 現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。 1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。 近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。