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ショーン・ペン監督映画で親子初共演!ディラン・ペンの最終目標は「映画の脚本・監督」

世界的スター、ショーン・ペンと女優ロビン・ライトの子供として生まれた、ディラン・ペン。両親のゴタゴタに翻弄されながらも自立し、女優として成功を掴んだ彼女の、成功しても自分の最終目的は見失わず、浮き足立たないその姿勢から学びたい。

父親は最大級の贋札事件の犯人!? 家族はバラバラに…『フラッグ・デイ〜父を想う日』

1992年、アメリカ最大級の贋札事件の犯人であるジョン・ヴォーゲル(ショーン・ペン)は、自身の裁判が始まる前に逃亡します。彼にはジェニファー(ディラン・ペン)とニック(ホッパー・ジャック・ペン)という2人の子供がいましたが、自身の無計画で山師的な仕事や行動のせいで家族はバラバラとなっていました。ジェニファーは母親を捨てて家族を崩壊させた父親を憎しみながらも、心の奥底では深い愛を抱いていたのですが…。

ショーン・ペン監督が自ら出演で初の親子共演

自分を愛してくれていた父親が実は贋札事件の犯人だったという実話を元にした本作ですが、ショーン・ペンが構想15年をかけて監督・出演しています。(ショーン・ペンが自分で監督した作品に正式に出演したのは初めて)この作品の特筆すべき点は、ジョンの娘ジェニファーを演じたディラン・ペンと息子ニックを演じたホッパー・ジャック・ペンが、ショーンの実の子供という点。

作品が家族を題材にした物語であることを踏まえ、僕はこの親子共演にある種の感慨を覚えました。ジェニファーの母親は夫のことをピーターパンと呼んでいました。その愛称を少年のような天真爛漫な意味合いと受け取るかもしれませんが、実際のジョンは夢ばかり追い続けて借金を重ねて最終的には蒸発してしまいます。

他人からすれば最悪な父親かもしれませんが、ジェニファーは父のことを憎みきれずにいます。自堕落な生活をするようになってしまった母親への嫌悪や、その後に母のパートナーになる男に襲われそうになるなど、過酷な人生を歩むジェニファーの心の奥底には父親への揺るぎない愛情があったのです。

タイトルの「フラッグ・デイ」とは、6月14日のアメリカ国旗制定記念日で、実はジョンの誕生日でもあります。毎年、街ではパレードが行われ国民が祝福するその姿に、ジョンは自分が皆から祝われている、そして自分が特別な存在だと勝手に妄想していたのです。

物語の冒頭で警察に呼ばれたジェニファーは、父親が偽造した贋札を警官から見せられます。これまで父親の無責任な行動や言動に悩まされて迷惑を被ってきたので怒りをあらわにすると思いきや、ジェニファーはその贋札を手にして「ビューティフル…」と呟きます。芸術家肌で日頃から8ミリカメラを回し、絵も上手かった父親に対して悪態をつくことなく、その贋札が父親の作品だと確認した上で、幸せだったあの頃を思い出すのです。

両親のゴタゴタに翻弄されながらも自立 役者としてのデビューまで

そして、本作の主人公ジェニファーを演じたディラン・ペンは、世界的スターのショーン・ペンと女優ロビン・ライトの子供として生まれ育ちました。(ちなみにディランという名は、ショーン・ペンがボブ・ディランが好きだったことから名付けられたとか)ショーンは歌手のマドンナと離婚したのちに飲酒運転や暴行などで逮捕され実刑を受けるなど荒んだ生活をしていましたが、映画「ステート・オブ・ゴースト」でロビンと共演したことがきっかけで交際が始まり、ディランとホッパーが誕生してからは、おしどり夫婦として知られていました。

しかしその後、ショーンの浮気などが理由で度重なる離婚申請が裁判所に提出されるなど、両親のゴタゴタに巻き込まれディランの人生は翻弄されます。セレブの子供は人生の道を踏み外してしまうことが多々ありますが、ディランは大学を中退した後に、ピザの配達、ウエイトレス、フリーの脚本編集者などをしつつ自立します。そしてモデルとしてスカウトされ、役者としてデビューするのです。

女優として成功したディランですが、インタビューでは自分の最終目標は自らの脚本で映画を監督することだと明言しています。お金も地位も名声も得たディラン・ペンの、成功しても自分の最終目的は見失わず浮き足立たないその姿勢に、人生のヒントがあるかもしれません。

『フラッグ・デイ〜父を想う日』

監督  ショーン・ペン
脚本  ジェズ・バターワース&ジョン=ヘンリー・バターワース
出演  ディラン・ペン、ショーン・ペン、ジョシュ・ブローリン、ホッパー・ジャック・ペン 他
公開  12⽉23⽇(金) TOHOシネマズ シャンテ 他

この記事を書いたひと

コトブキツカサ(映画パーソナリティー)
1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。

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