映画『 “隠れビッチ”やってました。』が12月6日に全国公開される。
清純派の女性を演じながら、実は巧みに数多くの男を弄ぶ “隠れビッチ” に体当たりしたのは本作が初主演となる佐久間由衣さん。
そして、そんな彼女が本気で恋に落ちた相手を小関裕太さんが演じる。
「オファーを受けたときはタイトルに衝撃を受けた」と話すお二人にお話を伺った。
普段の私はひろみとは真逆。 でも理解できる部分があるから挑戦したいと思いました。 −佐久間
佐久間 お話をいただいたときは、まずそのタイトルに衝撃を受けました。でもひろみの根っこにあるのは、誰かに愛されたいと言う願望や嫌われることへの恐怖。自信がないからこそ「好き」と言ってもらうことでしか安心できないんです。私とひろみは違うタイプではありますが、そういった気持ちはわかる気がする。理解できる部分があるから挑戦したいと思いました。
小関 ひろみはずっとテンションが高い。普段の由衣ちゃんとは真逆だからストッパーを外す作業が大変そうだなって。
佐久間 確かに、ハイテンションをキープするのは大変でした。ずっとアドレナリンが出ていて、撮影中は寝られなかったです。そして正直なところ、自分にはまだ主演は早いんじゃないかという気持ちがありました。でもだからこそ頑張りたいし、今まで以上の自分が出せるんじゃないかと思って走り抜けました。
小関 この作品を観終えたときに、佐久間由衣が『あれ、“隠れビッチ” なのかな?』と思わせるほど、説得力がありました。ひろみと由衣ちゃんは全然似てないはずなのに、この映画がしっくりきてるんですよ。
佐久間 役者冥利につきます(笑)。私は服もモテ系とは真逆のものがタイプ。なのでファッション誌のお仕事をやらせていただくたびに、“こういうのが男性にとってはかわいいのか…” って知ったりします。だから今回のひろみのテクも勉強になりました(笑)。
露骨なのは苦手だけど“好きになってもらいたい”と 頑張る女性は素敵だと思います。 −小関
小関 男から見ても勉強になりましたね! もちろん女性の方が見ていてなるほどな、と思えることは多いと思うんですけど、男性目線でも自分はどうされたら嬉しいのか、こういうのいいなって新たな発見があって面白かったです。
佐久間 どういうのが嬉しいですか?
小関 んー、全部(笑)。でも、やっぱりちょっと隙を見せてくれると “おっ” と思いますね。ひろみは男を翻弄するためにモテテクを駆使していますが、自分を素敵に見せようとする研究だとしたら、僕は素敵だと思います。もちろんわざとらしいボディタッチや、急に距離感を縮めてくる人はちょっと苦手ですけど、自分を磨くための頑張りは素敵です。
自分の寂しさを男に埋めてもらおうとするひろみに、ひろみのシェアハウスメイトのコジ(村上虹郎)が放つ『自分に自信がないからってね、男に逃げるのはやめなさい』という言葉が印象的だ。そこで、お二人にもこれまでに記憶に残っている言葉を教えてもらった。
佐久間 小学生くらいのときに祖父から言われた、『かわいこぶるんじゃなくて、自分らしくいて認められる人間になりなさい』という言葉ですね。自分の軸になっている言葉です。
小関 “隠れビッチ” とは、真逆ですね。
佐久間 そうなんです。まさか疑似体験できるとは…(笑)。でも、ひろみもたくさんの気づきを経て自分らしく認めてもらうために努力することを知る。この役を演じながら、改めて祖父の言葉を思い出しました。
小関 僕はメイクさんの言葉ですね。僕はひとり旅が好きなんですけど、なかなか海外にいけずにいたんです。ずっとN.Y.に行きたいと思っているのに、何か理由がないと行っちゃいけないと思って言い出せずにいた時に、『理由があるから行くんじゃなくて、行った先に理由があるんだよ』って。『航空券買わなきゃ何も始まらないんだから、買っちゃいな!』と。その言葉に背中を押された気がして、数日後にはチケットを買って、マネージャーさんには『この期間、お休みですよね? N.Y.行ってきます!』と、強硬策で行くことができました。
佐久間 N.Y.で理由は見つかりました?
小関 見つかった! 言葉じゃ言えないけど、メイクさんの言った通り、行った先に理由があったんです。あの言葉のおかげで一歩踏み出す勇気をもらえたし、それは旅に限らず色んなことに対しての原動力になりました。だから今は考えるより行動する、新しい世界にどんどん足を踏み入れられるようになりました。
この作品を見て、色んな気づきを持ってもらえたら嬉しいとお二人は話す。
佐久間 ひろみは多少こじらせちゃってますが、そんなひろみを通して自分を見つめ直すきっかけになったり、苦しんでいる方がいたら少しでも前を向いて歩こうと思ってもらえたら嬉しいです。
「誰もが少なからず“虚無感”を感じることがあると思うんです。もちろん僕もある」と小関さん。そこで最後にお二人に虚無感の埋め方を伺うと、お二人から『馬!』とのお答えが。
小関 音楽を聴いて過ごすことも多いですが、最近は乗馬にハマっています。とくに由衣ちゃんの馬愛はすごい。もうどっぷり(笑)。
佐久間 もうかわいくて、かわいくて。馬といれば寂しさも辛いことも全部忘れられます。
「“隠れビッチ”やってました。」は、12月6日から全国公開。
現代女性の心の隙間や歪みに寄り添いながら、ひろみが成長していく姿を楽しみにして欲しい。
PHOTO Hirohiko Eguchi(LinX)
TEXT Satoko Nemoto
佐久間由衣 / 1995年3月10日生まれ。2014年女優デビュー。15年『トランジットガールズ』でドラマ初主演。17年NHK連続テレビ小説『ひよっこ』でヒロインの親友役を演じ注目を集める。主な出演作はドラマ『明日の約束』『チア☆ダン』、映画『あの日のオルガン』など。現在は日本テレビ系10月期日曜ドラマ『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』に出演中。12月13日(金)に映画『屍人荘の殺人』
小関裕太 / 1995年6月8日生れ。NHK『天才てれびくんMAX』(2006~08年)のテレビ戦士として活躍するなど、子役として俳優活動。その後、舞台『ミュージカル・テニスの王子様』映画『覆面系ノイズ』『春待つ僕ら』『サムライマラソン』などに出演。また、『“隠れビッチ”やってました。』『シグナル100』が公開される。
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『“隠れビッチ”やってました。』
原作 あらいぴろよ 「“隠れビッチ”やってました。」(光文社刊)
監督・脚本 三木康一郎
出演 佐久間由衣、村上虹郎、大後寿々花、 小関裕太、森山未來 他
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