映画「グレタ」で主演 11歳で人生を切り開いたクロエ・モレッツ

5歳の頃から子役モデルとして活動を始め、11歳で映画「キック・アス」への出演で一気に知名度を上げた、クロエ・グレース・モレッツ。今作では、大女優イザベル・ユペールとのW主演を果たす。

連載第1回目に選んだ作品は、衝撃の狂気スリラー「グレタ GRETA」。

地下鉄でハンドバッグの忘れ物を見つけたフランシス(クロエ・グレース・モレッツ)は、ルームシェアしているエリカの反対を押し切り、持ち主であるグレタ(イザベル・ユペール)の家に届けに行きます。

母親を亡くした喪失感から抜け出せないでいるフランシスと、娘と離れて一人暮らしをしているグレタは、お互いの欠けたピースを補い合うかのように急速に親密度を増していき、グレタを母親のように慕い始めたある日、彼女の家のクローゼットを覗くと、地下鉄で見つけた忘れ物のハンドバッグと同じものが数個隠されていて、そのバッグにはひとつずつ違う女性の名前の付箋が貼られていたのです…。

グレタが意図的に地下鉄に忘れ物をして、届けにきた人物と親密な関係を築いているという事実に気付いたフランシスは、彼女のことが次第に恐ろしくなり距離を置こうとするのですが…。その後、戦慄の展開が待っているという展開。

演出で際立つグレタの危うさ クロエとの競演も見どころ

スティーブン・キング原作/ロブ・ライナー監督の映画史に残る名作「ミザリー」では、キャシー・ベイツ演じるアニーが自動車事故で重傷を負ってしまった作家のポールを助けて自宅で看病しますが、ポールの小説の大ファンだったアニーの行動は次第にエスカレートしていき、徐々に狂気を垣間見せます。

そんなアニーと本作に登場する貴婦人グレタの存在は非常に類似していて、他人を自分の思うがままにコントロールしたいという欲望を抑えられず、ありえない非日常が狂った現実となるのです。

また、ニール・ジョーダン監督の演出でとても興味深いのが、フランシスの衣装。最初の頃は失った母親への思いや、すれ違いが続く父親との関係を反映してなのか暗めの服を着ていますが、グレタと出逢い頻繁に会うようになると明るめの服を着るようになります。

そしてもうひとつ演出的なこだわりを感じるのは、グレタ登場時のカメラの揺れ。彼女がスクリーンに現れると幾つかのシーンでステディカム・カメラのブレのように画面が揺れ、グレタの危うい存在が際立つのです。

劇中、グレタがピアノを弾くシーンが何度かありますが、演奏している曲はリスト作曲の「愛の夢」この曲にグレタの心情が表れているのです。クロエ・グレース・モレッツとイザベル・ユペールの豊潤な競演を是非、劇場で体験してみてください。

「キック・アス」でブレイク 実は出演悩んでいた

そして、今回ピックアップする女優は、本作の主演クロエ・グレース・モレッツです。5歳の頃から子役モデルとして活動を始めたクロエは、小学生になると女優活動を始め、大きな役ではありませんが、TVドラマや映画に出演するようになります。

そして彼女の人生の転機となる映画「キック・アス」で、ヒット・ガール役を射止め一気に知名度を上げました。ヒット・ガールは、少女にもかかわらず悪者を残虐な方法で殺し、日常的に放送禁止用語を使用するという役どころ。11歳のクロエはこの役を演じる事に少なからず躊躇したそうですが、家族の後押しもあり出演を決めます。

しかし、映画に出ると決めた彼女は様々な武器の取り扱いやアクションを会得するために7ヶ月間の訓練を積み、過激なアクションシーン満載の「キック・アス」で、ほとんどスタントダブルを使わずに演じたそうです。11歳の少女が過激な役を演じるのは、本人そして家族も難しい判断だったのかもしれません。

しかし仮にクロエが「キック・アス」出演を拒んでいたとしたら、いまのキャリアとハリウッド・ポジションは築けなかったかもしれません。その後、彼女はマーティン・スコセッシ監督など、大御所との仕事を経て大女優の道を進んでいます。

やはり人生にはその後の自分を大きく変える分岐点のような選択があり、その選択を誤らないことで人生が切り開かれるのです。

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「グレタ GRETA」
監督・脚本/ニール・ジョーダン
出演/イザベル・ユペール、クロエ・グレース・モレッツ 他
公開/11月8日(金) TOHO シネマズシャンテ、TOHO シネマズ新宿ほか全国ロードショー

この記事を書いたひと

コトブキツカサ
(映画パーソナリティー)

1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。

この記事を書いたのは
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