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宝塚元トップスター『珠城りょう』が退団後初ミュージカル「正義感や承認欲求の強さも理解はできる」

ロシアの文豪・ドストエフスキーによる長編小説『罪と罰』を下敷きとして、劇作家・野田秀樹が書き下ろした『贋作・罪と罰』。1995年のNODA・MAPでの初演を経て、2001年、演出家・謝珠栄により『天翔ける風に』の名でミュージカル化されて以降は、2013年まで数度にわたって上演されている作品。その人気作が、この秋、10年ぶりにリニューアル上演されることが決定。主演は、宝塚のトップスターとして月組を牽引してきた珠城りょうさん。ご本人の意気込み、そして作品への想いを伺いました。

退団後初のミュージカル作品 過去の作品や資料は敢えて観なかった

―宝塚退団後、初のミュージカル作品とのことですが、本作を選ばれた理由を教えてください。

「数ある選択肢から選んだというわけではなく、退団後に謝さんから直接、“もう一度あなたと仕事したいんだけど、ミュージカルをやる気はない?あなたにぴったりの役があるの”と、ご連絡をいただけたことがきっかけです。まさか自分ともう一度仕事をしたいと思ってくださっていたなんて驚きましたし、しかも、謝さんがとても大切にされている作品の、すごく重要な役でしたので、非常に驚きました。それだけ気にかけてくださっていたことがありがたかったですし、なんとしてもその想いに応えたいと思いました」

―2001年の初演から何度も上演されている作品ですが、過去の舞台映像などはご覧になりましたか?

「謝さんから、“過去の作品や資料にはなるべく目を通さないでほしい。台本にも手を加えて新しいバージョンとしてお披露目したいから”と言われたので、敢えて観ませんでした。映像や資料を見ることは勉強になる反面、意識せずとも特定のイメージが植えつけられる側面があるので、それらに触れないことで、台本を読んだときに自分のなかで生まれた感情を大切に演じていきたいです」

―謝さんとは強い信頼関係で結ばれていらっしゃるのですね。

「宝塚時代は2作品ほどしか関わっていないのですが、『激情―ホセとカルメン―』でご一緒させていただいたときに、舞台にかける熱い想いに触れ、本当にエンタメを愛していらっしゃる素敵な方だと思いました。またご一緒できる機会があればいいなと、密かな想いが叶いました」

―過去の舞台はご覧になっていないとのことですが、戯曲を読まれたときの感想を教えてください。

「人間の本質や倫理観について考えさせられることが多い作品でした。たとえば、どんなにほしいものであっても、人を騙したり人から奪ったりして手に入れたのでは価値は感じられませんし、虚しさだけが残るということや、私が演じる三条英という役に関しては、正義感も承認欲求も強いキャラクターで、“自分は選ばれた人間だ”という意識が垣間見えますが、そういう意識を持たなければ生き抜くことができない時代だったんだなとも考えました。今とは時代背景が異なることもあって、自分とは考え方が違うと思う部分もありますが、台本を読むことで彼女を理解することはできます。ただ、英もひとりの女性であって、周りが思っているように強いわけではなく、強く生きるしかなかっただけなんだという点においては共感を覚えました。人間は誰しも弱く脆いものですし、たとえば私自身も、大きな自然災害が起きたことを報じるニュースを目にしたときなど、私自身の力や存在はちっぽけなのだと無力感を抱くことがあります」

偽善だと思われることは承知 それでも「希望を持つことで生き様は変わる」

―英をはじめ、本作の登場人物たちの未来にはハッピーエンドは待ち受けていませんが、そうした作品を上演することの意義はどうお考えですか?

「偽善っぽく聞こえてしまうかもしれませんが、“どんなときにも必ず希望はある”と信じたいという想いが伝わればいいなと思います。たとえ願いが叶わなかったとしても、英は希望があると信じたからこそ最後は前を向いて生きることができたし、そう信じられるかどうかによって、その人の人生や生き様は大きく変わってくると思います」

―日本オリジナル作品を再演することにも、大きな意義を感じていらっしゃるそうですね。

「これだけの本と音楽、演出を兼ね備えた舞台は、日本が世界に誇るものだと思っています。もちろん、海外作品にも素晴らしい作品はたくさんありますが、それもわかっているからこそ、日本にもそれに勝るとも劣らない作品が存在していて、それを形にできるスタッフとキャストがいることがなんて素晴らしいことなのだろうと思わせられます」

―本番は東京芸術劇場からですね。

「“芸術”劇場というだけあって、建物も空間もとても素敵で、観客として足を運んでいたときにも、“いつか自分もこのステージで演じたい”と思っていました。まさか、実際に舞台に立てる日がくるなんて幸せです」

―最後に、上演を楽しみにしている読者にコメントをお願いします。「幕末の時代を生きる人々の思いの丈が詰まった作品です。役者にとっても魂と魂のぶつかり合いになると思うので、みなさんにも感じていただけるものがきっとあると思っています。スタッフ、キャスト一同、劇場でお待ちしています」

PHOTO IsamuEbisawa
STYLING MegumiHasegawa
HAIR&MAKE EiriKimura(Rouxda’)
TEXT ReikoMatsumotoI

衣装 シャツワンピース20,900円(ヌキテパ/デミルクスビームス新宿)イヤリング60,500円コインネックレス101,200円2連ネックレス60,500円(カスカ)バングル57,200円(カスカプラータ/すべてカスカ表参道本店)その他 スタイリスト私物

 珠城りょうさん (RyoTamaki) って?
1988年生まれ。2008年に宝塚歌劇団に入団、同年に月組配属し、2010年には新人公演初主演、入団からわずか8年の2016年には、月組トップスターに就任。2021年8月15日に宝塚歌劇団を退団。宝塚退団後に出演した舞台「8人の女たち」、「マヌエラ」では、強い女性像を好演。他、TBS日曜劇場「マイファミリー」や、映画「わたしの幸せな結婚」など、女優として活躍中。

ミュージカル『天翔ける風に』

演出・振付 謝珠栄
原作 ドストエフスキー
脚色 野田秀樹「贋作・罪と罰」より
出演 珠城りょう、屋良朝幸、今拓哉、東山義久、原嘉孝、加藤梨里香、駒田一剣幸ほか
公演 9月29日(金)~10月9日(月・祝)
会場 東京芸術劇場プレイハウス

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