耳にする機会が増えたHSP。しかし、聞いたことはあるけどよく分からない、初めて目にしたという方もいるでしょう。ここでは、そんなHSPについて紹介します。
HSP=人一倍敏感な人
HSPとはHighly Sensitive Person、つまり「人一倍敏感な人」という意味。
音や匂いといった外部刺激に影響を受けるほか、他人の感情に敏感な程反応してしまうなどの傾向が見られる繊細な気質の人を指します。
例えば、仕事をしているとき同僚の話し声が気になってしまう、座っている場所の電気が明るすぎて集中しにくいなど、HSPではない人にとっては些細なことが気になります。
つまり、周囲の環境から受け取る情報量が多すぎるのです。本来気にしなくても良いことにまで気を回してしまうことで、体や心が疲れてしまうことで、生きにくさを感じている人も少なくありません。
しかし、そうした性質は裏を返すと強みになります。
一度に多くの情報を吸収できる・些細な違いを察知できる・危機管理能力が高い・想像力や共感力が高いなど、ビジネスパーソンとして持っておきたいスキルをHSPの人は持っていると言えるのです。
【HSPセルフチェック】あなたもHSPかも?
次のチェックリストを見て、当てはまる点が多いほどHSPの気質が高くなります。
□ 他人の気分・感情に対して敏感
□ 肌ざわりや着心地をとても気にする
□ カフェインなどの刺激物や化学物質などに敏感
□ 騒音・強い匂い・明るい光に敏感で不快になりやすい
□ 空腹状態だと集中力が低下したり、気分が悪くなる
□ 生活環境の変化は特にストレスが溜まりやすい
□ ドラマの暴力シーンは見られない、見てしまうと数日影響される
□ 怒られているのが他人であっても自分のことのように感じる
□ 人目が気になるほうだ
□ グループの中にいると自分らしさが出せない
□ 子供のころから内気だと言われてきた
□ 人と一緒にいると疲れてしまうため、1人でいるほうが心地いい
□ 人にジッと見られると普段のパフォーマンスを発揮できない
□ どんな失敗が起こるかを予想して、対策立てることを人一倍考える
□ よく考えてから動く
□ 一度にたくさんのことをするのが苦手
□ 空想にふけるなど、想像力は豊かな方だ
□ 音楽や芸術などに心を動かされる
□ 涙もろい方だ
HSPは洞察力が高く、感情を読み取ることに長けている方が多いと言われています。
本人も気付いていない根っこにある劣等感や抑圧された感情などをキャッチし、同調してしまうことがあります。
自分の性格が悪いと責めたりせず、こうした危機管理能力の高い自分の性質を知ったうえで受け入れることで、気楽に生きられるようになります。
HSP気質はうまく付き合っていけば長所になります。また、自分の気質を理解すれば、適切な方法でメンタルケアも行えるでしょう。生きにくいと感じている部分が緩和できるかもしれません。
また、自身が対象でなくても、上司や同僚、部下など職場の人にHSPの方がいる場合にもチェックリストが役立ちます。多く当てはまる傾向のある方に対しての接し方が分かるでしょう。
HSPとうまく付き合う方法
HSPの特徴の中でも該当するものをよく理解して、心地よく生活できる方法を探して実行してみましょう。
刺激を避ける
聴覚、視覚、味覚、触覚など、どんな刺激を感じやすいのかを理解して、それを遠ざけることで心地よく生活できます。
例えば、音楽を聴くときはノイズキャンセリングのイヤホンをつけたり、サングラスや色付き眼鏡をかけて光の調整をしたりなどです。辛いものを食べない、肌ざわりの良い素材の洋服を選んで着る、といったことも有効です。
居心地の良さを優先させてみてくださいね。
一人の時間をつくる
人といると相手の感情に同調してしまい、ネガティブな感情を取り込んで疲れてしまいます。それが積み重なると、生きにくさとなってしまうのです。
例えば、週末に2日間のお休みがあるのであれば、1日は外出し、次の日には予定を入れずにのんびりするなどして、1日の中に1人でいられる時間を確保するようにしましょう。
相手の思考を想像で完結しない
HSPの気質がある人は、想像力が豊かなため「相手はネガティブな感情を持っているはずだ」と勘違いしてしまったり「私が何かしたのではないか?」と心配になったり、自分を責めてしまうことがあります。
自己完結せずに、相手の考えや状況を聞いてみましょう。自分が思っているほど、相手は気にしていないかもしれません。
無神経な人とは関わらない
ネガティブな状況になりそうなときは、その場から離れるようにしましょう。例えば、無神経な人が誰かの陰口を言うような場面です。あなたが会話の主導権を握れるのなら、瞬時に明るい話題に変えてもいいですね。
共感力を活かして他人に感謝されることをする
人は感謝されるとうれしいもので、こうした喜びがプラスのエネルギーを生み出します。そしてHSPは、人の何倍もの喜びを感じられ、より多くのエネルギーを得ることができるのです。
そうした気質を利用して、感謝される場面を増やしていければ良いエネルギーの影響で生き生きとしてくるでしょう。自分から誰かに感謝を伝えるのもプラスになります。
身近にHSPの人がいたら…
同僚や上司、部下にHSPであると告げられた場合も、対処法や配慮の仕方を知っていればうまく付き合っていけます。
HSPと告げられる=「特別扱いしてほしい」ではない
「よりパフォーマンスの高い仕事がしたい」「コミュニケーションを円滑にしたい」との意思表示であって「疲れやすいので気を遣ってほしい」「大目に見てほしい」など、特別扱いされたいわけではありません。
例えば、仕事のパフォーマンスを上げたいという要望があり、そのHSPが光の刺激に弱いとします。その場合は、光が強くない位置のデスクをあてがう、照明の位置を調整するなど可能な限りで対処するといいでしょう。
思っていることを話せる場をつくる
HSPの人とそうでない人では、周囲に対するとらえ方が違います。どういった感じ方の違いがあるのか、言動に対してどう思ったのかなどをお互いに話せる場を用意しましょう。
ネガティブなフィードバックも同様です。ただし、HSPは傷つきやすいからと、遠回しな言い方をするのは良い配慮とは言えません。むしろ、具体的に何がどう良くなかったのかを伝えることで、HSP側も対処がしやすくなります。
HSPの特性をうまく使いこなしていこう
5人に1人がHSPだと言われる現代社会では、あなた自身や周りの人もHSPの特徴を持っているかもしれません。HSPは決して珍しい性質ではないといえます。
洞察力が高く気配りができ、危機管理能力が高く思慮深い。そんなHSPのメリットを活かせるよう、HSPの特徴を理解してうまく付き合い、可能性を広げていきましょう。