時節柄、人出は少ないような気がするものの、人気の場所は意外と混雑していてうんざりすることも。
たまには普段立ち寄ることが少ないマニアックな聖地スポットにも目を向けてみませんか。今回は鉄道とアニメ聖地となった田端です。
鉄道ファンには欠かせない鉄道の聖地
昔、駒込に居を構えていたことがありました。
仲良くなった唐揚げ店の店員から「山手線で一番地味」と土地柄を説明されたのを覚えていますが、ネット上では「最もマイナーなのは田端なのでは…」という書き込みも。
しかし、昨今、とあるアニメ映画の影響で田端が聖地と化し注目されるようになったというではありませんか。
以前から文豪らの街としてマークしていたスポットではありますが… ここはミーハー精神を爆発させながら、かつての拠点エリアに足を向けてみました。
山手線外回りの乗客は池袋での降車率が高いようなので駒込から田端に向かう途中、JR東日本東京支社と大きな操車場が見えることを知らない人が意外にいます。
実はこれ自体がすでに田端のバリューを証明しているものなんです。
まずは田端駅北口エリアに出てみましょう。
「東田端公園の車輪」 駅から徒歩5分にある公園には遊具のほかに車輪モニュメントが。
背後にある玉石アートの石には1つひとつに絵が描かれているので要チェックです。
改札を出て右にある新田端大橋の歩行道路には、東北新幹線の車両部品をはじめとした鉄道オブジェが飾られています。
自嘲気味に「最もマイナー」と言われる田端ですが鉄道ファンには欠かせない鉄道の聖地なんです。
さらに橋の下には複数の路線が通り、在来線や新幹線が併走する姿を見られるのでカメラの1つも設置したくなるのも納得できます。
他にもこの地が鉄道ファンに愛されていることは点在する隠れスポットが証明してくれています。
例えば、新田端大橋を渡りきった場所にあるJR東系列のホテルには、国鉄寝台列車で実際に使用された浴衣やグッズをプレゼントするプランが用意されていたり、駅前通りにある蕎麦処では店頭の鉄道ジオラマを毎月模様替えさせてファンを楽しませていたりと随所に見どころがあるんです。
また、東田端公園などにも車輪モニュメントが展示されていたりと、街と鉄道が溶け合ったテイストで興味が掻き立てられます。
↑「新田端大橋の鉄道モニュメント」東北新幹線200 系で使用されていた連結器カバー(奥)と同系で使用された車輪。そのほか、東北線で敷かれたレールや運転方向を切り換えるポイントリバーも展示されている。
映画「天気の子」で知名度アップ 聖地巡礼のスポットに
さて、そんな鉄道の街ですが、田端・駒込界隈といえば多くの芸術家や文豪たちが互いに研鑽し合ったアカデミックな側面を持ち合わせているのも特徴のひとつです。
そんな彼らの功績を紹介した施設には、芥川龍之介が住んだ住宅復元模型や動画などが常設されていて、素人にもわかりやすく説明してくれています。芥川の自筆原稿も公開されていてファンならずとも多くの人に見て欲しい充実ぶりです。
最近だと文豪をモデルにしたアニメやゲームコンテンツが盛り上がっており、史実を知りたいとニーズが高まっているのかもしれませんね。
文豪とは無関係ですが、アニメのひとつで田端の知名度向上に貢献したのが映画「天気の子」です。
主要ヒロインが頻繁に登場する田端駅（南口）周辺が、聖地巡礼のスポットとなり訪問者数がじわりじわりと上昇。
衣装を揃えて再現シーンをSNSで公開するなど、田端の新たな魅力が発信される契機となりました。
一時は「山手線にこんな名前の駅あったの？」と言われたという田端。
そんな事情もあって最近はにぎやかとなり、ぜひ一度は訪れたい散歩スポットですね。
Writer
脚本家 新井啓明
日本大学卒業後、広告営業、ネット記事編集に従事。
現在は、ゲームのシナリオ執筆から、舞台コンペのための脚本も手がけている、精神年齢が小学生の会社員。
【ブログ】https://note.mu/kikitojiji190814
