47歳で散った伝説のミュージカル女優ジュディ・ガーランドの波乱な人生を描いた感動の実話で、ジュディを演じたレネー・ゼルウィガー。
魂で歌い上げる「オーバー・ザ・レインボー」に涙が止まらない。
17歳にして売れっ子女優、その後歌手として復活するも…
「オズの魔法使」のドロシー役に抜擢されたジュディ・ガーランドは、多くの批評家や観客から演技を絶賛され、17歳にして売れっ子のハリウッド女優となった。
しかし女優として体型を維持するための食事制限やスタジオ側から要求される過重労働などで次第に疲弊していく…。
スタッフから渡される興奮剤、睡眠薬、減量剤などの過剰摂取とアルコール依存で精神を病んだジュディは仕事もままならなくなり、遂にスタジオを解雇されてしまう。
月日が経ち世間から女優としての復活は難しいと思われていたジュディだが、歌手活動を中心にコンサートで活躍。
そして映画「スタア誕生」で女優としてカムバックしてアカデミー賞主演女優賞にノミネートされる。
華やかな復活劇を遂げ役者として歌手として再びハリウッドの頂点に立つかと思われたジュディだが、様々な事情から再びショウビズのトップステージから転落してしまう…。
ハリウッドの表と裏、LGBTQのアイコンだったジュディ
LGBTQの方々を応援する意思表示でもあるレインボーフラッグをご存知でしょうか?
SNSやブログなどのアイコンで見かけた方も多いと思いますが、実はレインボーフラッグはジュディ・ガーランドという女優の存在抜きには語れません。
LGBTQの方々への差別が当たり前のように蔓延していた時代、ゲイカルチャーのスターでありポップアイコンだったのがジュディだったのです。
彼女の抑圧された人生とその環境からの復活にLGBTQの方々が共感すると共に、彼女自身もバイセクシャルだったと言われています。
そんなジュディの代表作「オズの魔法使」で歌われた名曲が「虹の彼方に/オーバー・ザ・レインボー」なのです。
ハリウッドに限らずショウビジネスの世界は憧れの対象でもありますが、残念ながら時に人の人生を搾取する場所でもあります。
華やかな世界の裏では人々の欲望が渦巻き、その渦に飲み込まれてしまう人もいるのです。
「オズの魔法使」でスターとなったジュディは寝る暇もないほどに忙しくなり、スタジオのスタッフから興奮剤などを渡されて過剰に摂取してしまい、次第に己を見失っていきます。本作は当時の映画界の華やかな表舞台と陰鬱な裏舞台を描いているのです。
「ブリジッド・ジョーンズの日記」「シカゴ」から完全復活
そんなジュディ・ガーランドを演じたのはレネー・ゼルウィガー。
彼女は大学時代に芝居に興味を持ち、舞台出演からキャリアを始めます。そして数本の映画に出演したのちにトム・クルーズ主演「ザ・エージェント」での好演が評価されブレイクします。
レネーの代表作といえば「ブリジッド・ジョーンズの日記」だと思いますが、アメリカ生まれのレネーは本作出演の為イギリス英語をマスターし、13キロ体重を増量。愛嬌のあるブリジッド・ジョーンズを見事に演じきりアカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。
その後も「シカゴ」や「コールド・マウンテン」などに出演。プライベートではジム・キャリーやジョージ・クルーニーとの交際を経てカントリー歌手のケニー・チェズニーと結婚しますが、すぐに婚姻無効申請してタブロイド紙を賑わせました。
浮き沈みの激しいハリウッドで役者として着実にキャリアを積んでいったレネーですが、2010年に突如として女優業をセミリタイアします。
本人は後のインタビューで「仕事に疲れていたので回復したかった」と語っていますが、一説にはかなり精神的に病んでいたそうです。しかし充電期間を経て彼女は女優として完全復活しました。
自分の目指す目標や夢に疲れて疲弊されている人もいると思いますが、精神的に厳しい状況なら、レネーの様に一旦充電期間を置いてから再スタートする人生もあると思います。
それは決して遠回りではないのです。
虹の彼方 どこか遠く 空がとても青くて そこではどんなに大きな夢も 必ず叶うらしい」(オーバー・ザ・レインボー/虹の彼方に)
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「ジュディ 虹の彼方に」
監督/ルパート・グールド
出演/レネー・ゼルウィガー、ジェシー・バックリー、フィン・ウィットロック、ルーファス・シーウェル、マイケル・ガンボン、ダーシー・ショー、ロイス・ピアソン 他
公開/3月6日(金) TOHOシネマズ日比谷 他
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コトブキツカサ(映画パーソナリティー)
1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パソナリティ」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。
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