U2ボーカルの娘イヴ・ヒューソン “2世バイアス”跳ね除けて実力で勝負

ロックバンド・U2のボノの娘・イヴ・ヒューソン。世界的なバンドのボーカリストが父親ということもあり、ハリウッドでは常に色眼鏡で見られ続けた彼女。

周囲の雑音を消すためには、人生を賭けた目的に対する強い気持ちこそが必要です。

エジソンが恐れた天才発明家ニコラ・テスラ

舞台は1884年のニューヨーク。移民のニコラ・テスラ(イーサン・ホーク)は、昔から尊敬していたトーマス・エジソン(カイル・マクラクラン)の元で働き始めます。しかし直流方式の送電を考案したエジソンに対し、テスラは交流方式を主張。両者の意見は食い違いお互い妥協せず激しい対立の末に仲違いしてしまいます。

その後テスラは実業家と手を組み、発明の分野で一躍時代の寵児となります。大財閥J・P・モルガンの娘アンと交際し、モルガンから多額の資金援助を受けて無線の確立と普及に努めたテスラですが、社交的ではない性格もあり周りと打ち解けられずにいました。 そんな彼は発明のため資金調達に苦心する日々を過ごすのですが…。

歴史に名を残す世界的な発明家といえば、多くの方がエジソンの名を挙げると思います。しかし純粋な発明家としての才能はエジソンよりテスラの方が上だったのかもしれません。彼ら二人の大きな違いは実業家としての才能です。二人とも発明家として天才なのは間違いありませんが、スポンサーとの巧みな交渉術や座持ちに長けているエジソンに比べてテスラは社交界でも上手く立ち回れません。

劇中では次第にリッチになっていくエジソンと生活するのも苦しくなるテスラの姿が映し出されています。「機械は人間の延長線上にあり対極ではない」とテスラは語ります。いかなる発明やその発明を具現化する器具も人間ありきだという強い信念が彼を突き動かすのです。

脚本完成から映画化まで諦めなかった監督の執念

この作品はマイケル・アルメレイダ監督が16歳の頃、ニコラ・テスラの大ファンだった友人の話を聞いたことが原点なのですが、それ以降この唯一無二な発明家のことを調べ尽くしたアルメレイダ監督は22歳の頃にこの物語を書き上げ映画化も決定しました。

しかし出資会社が倒産してしまい映画化はキャンセルとなり、脚本完成から30年以上の長い年月塩漬けにされていたのです。しかし監督やスタッフ達の思いが重なり、遂に制作そして公開されることになりました。

劇中ではテスラに惚れたこともある令嬢アン・モルガンがストーリーテラーとして物語の背景を語りますが、そんなアンを演じたのがイヴ・ヒューソン。もしかすると読者の方々にはあまり聞き馴染みのない女優かもしれませんが、ロックバンド・U2のボノの娘としても有名です。

父親の大反対を押し切って挑戦した下積み時代

1991年にアイルランドで生まれたイヴ・ヒューソンは、女優になることを夢見ていましたが、ショウビズの世界の過酷さを知り尽くしている父親のボノから大反対されていたそうです。

しかし自分の信念を曲げず、短編映画などに出演。ニューヨークに移り住んでからはフィルムアカデミーで演技を学び、ミュージックビデオなどに出演。

その後ニューヨーク大学を卒業してからは「きっとここが帰る場所」「おとなの恋には嘘がある」「ブリッジ・オブ・スパイ」などの出演を経て、タロン・エジャートン、ジェイミー・フォックス主演、レオナルド・ディカプリオ製作の「フッド:ザ・ビギニング」のヒロイン役をオーディションの末に勝ち取ったのです。

世界的なバンドのボーカリストが父親ということもあり、ハリウッドで働くスタッフやオーディション会場の審査員達に色眼鏡で見られ続けたイヴ・ヒューソン。しかし父親の大反対を押し切って女優の道に進んだ彼女に退路はありませんでした。

人は限られた情報や偏見で他人を評価してしまう時があります。しかし明確な目標を設定すれば他人の目なんて気にならないはず。誰しもがイヴ・ヒューソンのように強く生きることは難しいかもしれませんが、目的に対する強い気持ちがあれば雑音は聞こえなくなるはずですし、人生を賭けた目的が見つかったこと自体が幸せへのチケットなのです。

『テスラ エジソンが恐れた天才』

(C)Nikola Productions, Inc. 2020

監督・脚本・製作 マイケル・アルメレイダ
出演 イーサン・ホーク、カイル・マクラクラン、イヴ・ヒューソン、エボン・モス=バクラック 他
公開 3月26日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町 他

この記事を書いたひと

コトブキツカサ(映画パーソナリティー)

1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パソナリティ」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。

この記事を書いたのは
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