なぜ人質は犯人に味方したのか?実話を映画化『ストックホルム・ケース』

「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のヒロインに大抜擢され、世界的に注目を集める女優となった、ノオミ・ラパス。

主役というプレッシャーを跳ね除けてキャリアアップした彼女に学びたい。

ストックホルム症候群の語源となった事件を映画化

犯罪歴のある悪党のラース(イーサン・ホーク)は、アメリカに逃走するためストックホルムの銀行への強盗を計画し実行します。

彼は銀行内にいたビアンカ(ノオミ・ラパス)を含む3人を人質として監禁。そして警察との交渉により犯罪仲間で刑務所に収監中のグンナー(マーク・ストロング)を釈放させることに成功します。

ラースは人質達と交換に逃走車と金を要求しますが上手くいかず、警察側から銀行に閉じ込められ、ラースとグンナーと人質達は身動きが取れなくなってしまいました。

すると警察からの対応に不満が募る人質とラースの間に奇妙な連帯と共感が芽生え始めるのです。

誘拐もしくは監禁された被害者が、犯人と長い時間を共有することで連帯感や恋愛感情といった特別な感覚を抱いてしまう心理現象を「ストックホルム症候群」と言います。

その語源となったスウェーデンで実際に起こった「ノルマルム広場強盗事件」を元にした本作は、犯人と人質が対峙する極限状態の中でお互いが心を通わせていく過程を恐怖と不安とユーモアを交えながら描いています。

警察を恫喝しハイテンションでクレイジーな行動や言動を繰り返しながらも、どこか憎めない愛嬌を併せ持つラースをイーサン・ホークが熱演。

そんなラースに人質でありながら好意を抱いてゆく銀行員ビアンカをノオミ・ラパスが演じています。

この作品の特徴は、ボブ・ディランの楽曲が数多く使用されていること。

主人公ラースはアメリカ文化に憧れを抱いている点を踏まえて、ボブ・ディラン独特の詩と刹那的な時代背景が調和して、作品に力強い「思想」を注入しています。

ラースは銀行強盗に成功するのか? そしてビアンカとの関係は?「ストックホルム・ケース」を是非劇場で体験してみてください。

プレッシャーを跳ね除けキャリアアップを重ねる

本作で人質となるビアンカを演じたノオミ・ラパスは、スウェーデンでフラメンコ・シンガーの父親と女優の母親の元に生まれました。

7歳の時、親の薦めでエキストラとして映画に出演。その時に演技に目覚めて15歳になると家を出てストックホルムのシアター・スクールに通うようになります。

そしてテレビドラマなどの出演を経て、2009年公開の「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のヒロイン・リスベット役に大抜擢され世界的に注目を集める女優となりました。

その後、数本の作品に参加した後に2011年公開「シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム」で初めてハリウッド作品に参加します。

そして多くの映画ファンが待ち焦がれていた、リドリー・スコット監督のSF映画「エイリアン」の前日譚を描いた「プロメテウス」の主役エリザベスを演じます。

この作品自体の評価は分かれたものの興行的には世界的大ヒットとなり、ノオミのハリウッド進出は大成功しました。そして「セブン・シスターズ」では7つ子の姉妹を1人で7役を演じ、観客や批評家から絶賛されるのです。

プライベートでは2001年にスウェーデン人俳優のオーラ・ノレルと結婚。そして2人の間には子供も誕生したのですが、ミレニアム・シリーズの主役となったノオミと役者としてもがいていた夫のオーラとの間で軋轢が生じて2011年に離婚が成立しました。

ノオミ・ラパスは母国語のスウェーデン語の他、英語、アイスランド語、ノルウェー語、デンマーク語を流暢に話す才女で知られています。

そんな彼女の分岐点はミレニアム・シリーズでリスベットを演じたこと。

リスベットは鼻ピアスに全身タトゥーというルックスで、男性から暴行を受けるというハードなシーンもあります。

世界的に注目を集める作品の主役というプレッシャーを跳ね除けて彼女はキャリアアップしました。

どんな仕事でも周りから期待されるような大役を任される時があると思いますが、プレッシャーに押しつぶされずその壁を越えることで初めて成功を手にするのです。

「ストックホルム・ケース」

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監督・脚本 ロバート・バドロー
出演 イーサン・ホーク、ノオミ・ラパス、マーク・ストロング、ビー・サントス、クリストファー・ハイアーダール、マーク・レンドール、イアン・マシューズ 他

公開 11月6日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿、UPLINK吉祥寺 他

この記事を書いたひと

コトブキツカサ(映画パーソナリティー)

1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パソナリティ」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。

 

この記事を書いたのは
Poco'ce

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